ランチアさん一瞬の復活記念に乗じてブツも復活。黒曜編後の妄想でした…(遠いな)
チアさんカムバックー!
蛙、蛞蝓、蛇、菩薩
成程これが三竦みというものか。
緊張感に張り詰めた自室のドアを開けた綱吉はとっさに蛙と蛇と蛞蝓を思い浮かべ、あんまり良い譬えではないなと溜め息を吐いた。
煙草に火がついた文字通り臨戦状態の獄寺。
呆然と足元を眺めている天井に頭が届きそうなランチア。
いまいち良く判っていない癖に手榴弾を握り締めるランボ。
「……ボンゴレ」
「え、はい」
「もしやと思うが、コレが『うちにいるこども』か……?」
ランボを指差しながらじと目で綱吉を見やって、ランチアはなんともいえない情けない顔で呟いた。狼のような野性味あふれる顔立ちの彼が妙に可愛らしくみえて。綱吉はあははははと笑って誤魔化した。誤魔化しにはなっていなかったが。
そういえば彼にそんなことをいった気がする。さすがにランボと同列というのはいくらなんでも不味かったかも知れない。
「ええと、ランボ? 母さんがおやつだって呼んでたぞ」
一緒に行こうなとひょいと抱え上げたチビっ子に、だから物騒なものは仕舞えと諭すと牛の子は人差し指を咥えてぶどうかーと偉そうにわめいた。
「はいはい、甲斐路だよ。獄寺くんにお礼いってね」
「十代目、そんな恐れ多い!」
即座に十代目スイッチが入った獄寺は、睨み合いなど彼方に追いやって嬉しげに叫んだ。
「本当、いつも悪いね獄寺君。用事が終わったらランチアさんも一緒に連れてきてね」
じゃ、オレ行くから。
ある意味見事な戦線離脱を告げる綱吉である。にっこり笑顔がポイントだ。
「用事なんてそんな今すぐ参ります!」
「あ、ランチアさん、葡萄好き?」
「葡萄……」
「日本のも美味しいよ。嫌いじゃなかったら一緒にどうぞ」
「貰おう」
「十代目ぇ……」
そんな貴方も素敵です。獄寺は心で泣いた。
「打ち捨てても構わないのにおまえはオレを拾った。オレの命はおまえのものだ」
偽の六道骸、ランチアは自分を負かし本当の名を思い出させた綱吉を主と決めてしまったらしい。
かつて愛したボスやファミリーとは違う、それでも隠された本当の自分を見つけてくれた綱吉。そんな相手に出会った孤独な男がどうなるのか獄寺には嫌というほど判っていた。
「いや、あの、ランチアさんの解毒をしたのはオレじゃなかったし―――」
「迷惑か?」
「そういうわけじゃなくって、別に恩義なんか感じなくていいってことで。せっかく自由になれたんだから自分の為に生きてよ」
「オレはおまえを守りたい。オレの意思で」
守らせてくれ。ボンゴレ十代目。
―――そうすればオレはまだ生きていられる。
そんな風にいわれて綱吉に断れる訳がなかった。
獄寺には判っていたのだ。
煙草の煙が目にしみる。
「おまえは十代目を守ったんだ。認めねーわけにはいかねえ。だけど」
「……」
「裏切ったらオレがおまえを殺すぜ」
何をしてでもだ、そんだけ覚えておきやがれ。言い捨てて獄寺は階下の主の許へと急ぐ。返事など聞く気もなかった。
「……ああ」
だからそれはここにはいない大事な人たちへ、ようやく手向けた彼の誓い。
―――見ててくれ。
今度こそ、守りたいものを守ってみせるから。
原作次第でもしかしたら今日明日にもなくなるかもしれないブツです。ものすごい突発的。
だってランチア可愛いんだもんよ。沢田さんちの子になっちゃいなよ!(でかすぎだ…)
2005/11/14 lizhi
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